最愛レプリカ

温かい湯舟に浸かりながら今日の出来事を思い出していた。

津村に対するモヤモヤ。

胸のザワつきと逃避。

見下ろした夜景。

癒されたラーメン。


なぜ津村の前では素で居られたんだろう。
やっぱりゲームセンターに入り浸る姿を見られて開き直ったんだろうな。


自分を作らないで良いという気楽さと安堵感を覚えた私。

今までずっと姉を真似て、姉のように生きていた。
それが私の生き方だから。

だけど私の中で何かが変わり始めている。


私は湯舟のお湯を両手で掬い上げ、バシャッと顔を洗った。
水が滴る音が浴室に響いた。
< 47 / 113 >

この作品をシェア

pagetop