最愛レプリカ
私達の高校はなだらかな長い坂の上にある。真夏にここを上るのは少し辛いけれど、私は嫌いじゃない。
いつものようにゆっくりと歩を進めていると、また後ろから声をかけられた。
「ねぇ、君達!西高の生徒さん?」
私と朋美は一瞬顔を見合わせて後ろを振り返った。
茶色い無造作な髪に不似合いなスーツ姿。背の高い若い男の人が、人懐っこい笑顔で立っていた。
「その制服、西高だよな?」
「そう、ですけど……?」
少し不審な目を向けた朋美がオドオド答える。いつも元気な朋美がなんだかおかしかった。