最愛レプリカ

部屋に入り扉を閉めた途端、一粒の涙が頬をなぞった。

けれどその涙は、私の中で渦巻く感情を洗い流してはくれない。


私は、頑張ってたよ。

やっぱりって何?

ダメだなんて、言わないで。


鞄から手帳を取り出し、挟んであったメモを抜く。

一つ深く息を吐いてから、そこに並ぶ11桁の数字を追って携帯電話のボタンを押した。
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