最愛レプリカ
朋美の警戒心を振り切るかのように、男性は眩しく笑った。
「俺、今日から実習に来たんだ。よろしくな!」
あぁ、今日から来るっていう教育実習生の一人なのか。
ふと朋美を見ると先ほどまでの警戒の色は無く、その実習生の笑顔に顔を赤らめていた。
本当にこの子の表情はコロコロ変わって面白い。
ところで、実習生って色々と準備があるはずだ。こんな所で油売ってて良いのかな。
「あの、時間大丈夫なんですか?」
私がそう声をかけると、朋美の方に向いていた実習生の視線が私に移された。
目が合うと、実習生は一瞬動きを静止した。なんだか驚いたようにも見えた。
けれどすぐにハッとして左手首を目の前にかかげ、腕時計を覗き込んだ。