最愛レプリカ
予想外のことに一瞬戸惑ったけれど、離しかけた通話口をもう一度当てる。
「何?」
『今も、自分を殺してんの?これからも殺していくの?』
どう、答えれば良いんだろう。
本当は迷っている。
今まではただ姉の面影を追って生きてきたけれど、私も18歳になってしまった。
18歳以上の姉を、私は知らない。
「分からない。そのつもり。」
曖昧な答えを告げるしか、私には方法がなかった。
受話器の向こうで小さく津村の溜め息が聞こえた気がした。