最愛レプリカ
津村が丁寧に車を停車させた場所は、やっぱりあの丘の上の公園だった。
今私の目の前に広がっているのはあの日見た煌めく夜景ではなく、憂いを帯びた夕日に滲む町並み。
津村が私の隣に立って、綺麗だな、と呟いた。
少し手が触れた。
「今日はどうしたんだ?何があった?」
何があったかなんて、言いたくない。本当の事を認めてしまうのが恐い。
もしも津村が私に近付いた理由が姉の代わりなんだとしたら、私はきっと潰れてしまう。
私達はしばらく無言で街を見下ろしていた。