最愛レプリカ
優しく優しく抱きしめられる。こんなの、ぶたれるよりも痛いよ。
本当は分かってる。姉が命を犠牲にして守ってくれた私の命。
「そんな事、言うな。」
切なく掠れる津村の声が私の胸をギュッと掴む。
「ちぃちゃん…。」
「やだ!」
思わず口に出してしまった私。津村は抱きしめる腕に力を込めて訂正した。
「千晶。」
『千晶』と呼ばれて、今更ながら確認した。私自身の存在を。
姉は昔からみんなに『ちぃ』と呼ばれ、私は『ちあき』だった。
そうだ。
私は千晶だったんだ。