最愛レプリカ

何でって……
お姉ちゃんに似せている所以外では思い当たらない。


「千晶自身の姿を、俺に見せてくれたからだよ。」

「私自身の、姿?」


その意味を理解し切れない私の様子を見て、津村は柔らかく笑う。


「独りで抱え込んでる姿とか、涙垂れ流して泣く姿とかな。」


嘘だよ……。
そんな姿、ただみっともないだけ。


「大口開けてラーメン食ったり、ガキみたいに笑う所に、俺は惹かれたんだ。」


馬鹿みたい。そんな私、少しも素敵じゃないじゃない……。

黙り込んだ私を、津村はずっと抱きしめてくれている。
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