最愛レプリカ

抱きしめた両腕にさらに力を込めると、大切そうに津村は言った。


「千晶が好きだ。」



私の中の奥深い所から、沢山の感情が押し寄せてくる。


どうしよう。
私、この人が好きだ。


恋なんか出来ないと思っていたのに。

ごめんね、お姉ちゃんの代わりに生きることは、続けられそうにありません。


私は自分らしく生きることを、素直に人を想うことを、ずっと避けてきた。

だけど願ってしまったんだ。

誰かに本当の自分を愛されたいって。

そして心から愛したいって。
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