クールな王子は蜜の味
相手はもちろん、

智也。

すぐに来てくれると言うので、

私は震える足で玄関に向かった。

玄関の向こうは静かだった。


・・・

「おい、何やってんだよ?」

・・・

外で男の声がした。

智也が来てくれたんだ。

何やら言い合いしていたようだったけど、

女子たちはようやく帰ったようだった。

・・・

私は玄関の鍵やチェーンを外すと、

ドアを開けるなり、目の前にいた

うちの制服姿の男の子に飛びついた。


「先輩」

私は泣きながら、智也を呼んだ。

しっかりと抱きしめてくれた。

温かくて、優しい腕に落ち着いた。

・・・

「寧々、何があった?」

・・・その声は、

智也のものじゃないことに、

ようやく気付いた私は、

上を見上げた。
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