クールな王子は蜜の味
「いつまでオレの彼女、

抱きしめてるつもり?」


・・・

突然私たちの後方から、

そんな声が聞こえてきた。


私は学ちゃんの腕の隙間から、

そちらに目をやる。

学ちゃんは、緩めるどころか、

なお一層、私を強く抱きしめ、

そちらに目もやらず、呟いた。



「彼女一人も守れないアンタが

一緒にいるより、オレが傍にいた方が、

寧々を、守ってやれると思うんだけど」


・・・

その言葉が、

智也の心に突き刺さる。

受験前で、

私の傍にいられないのは事実。

でもそれはしょうがないこと・・・


一生を決める大事な試験なんだから、

私はそれを応援してるし、

夢を追う智也が好きだ。

「学ちゃん」

私は離してと、何度も言った。
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