アカイ花†Vermilion Flower

「ねえ、聞いてる?」

「聞いてるよ

 どうして、話が結婚になるの?」


レイは、顔を洗いに行く私の後ろを付いて来る。


「だって、マンション買うんでしょう
 誰かと一緒に暮らす為じゃないの?

 ママなんて電話で、出戻り娘が
 嫁ぐって大喜びしてるよ」


ジャーー

水で顔を簡単に洗った私は、タオルで顔を覆ってポンポンと軽く押し当てて拭いた。


「もう、これだから・・・
 
 違うよ、私は誰とも暮らさない
 一人で暮らす家を買うの」

「一人で暮らす家って
 ちょっと、リコちゃん・・・」


リビングに戻る私の後を、レイはまだ付いて来る。

私が食卓の椅子に座るとレイは、私の前の椅子に座った。

テーブルから乗り出して、くるくるとした愛らしい瞳で私を見つめていると思ったら、その薔薇色の唇は現実的な言葉を語り出す。
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