アカイ花†Vermilion Flower

黒髪に執着するいずるさんを、怖いと思った過去の記憶が鮮明に甦る時、苦しくて仕方ない。

終わった事だと勝手に思っていただけで、私の心はあの時の傷ついた気持ちを忘れてなんていない。


バン・・・

強風で何かが倒れた音は、テーブルを叩く音に似てる。


『どうして、勝手に黒髪を
 切ったりするんだ
 
 お前には、似合わない』

『リコ、どうして俺の愛が
 分からないんだ

 どうして、髪を・・・』


もう、終わった事なのに・・・

終わった事じゃないの・・・?


でも、もう、どうでもいいことじゃない。

また、囚われるだなんておかしいよ、忘れよう。


「あの~、私
 用を思い出して帰らなきゃ・・・」


その時、いずるさんの手が私の手に触れた。
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