アカイ花†Vermilion Flower

「ふん

 家も男も新しいのに乗り換えるって
 魂胆だな

 そんな事、この俺が許さない」

「貴方に許して頂かなくても結構です!」


何かこんな感じの言葉を、遠い昔、誰かに言ったような気がする。


「何だ、その他人行儀な口ぶりは」


男の手が私の頬を打とうとした時、私は高校時代に芙美子に伝えた言葉を思い出した。


『ミコ、あなたに許されなくても
 構わない・・・』


「フフッ」

「何が可笑しい?」

「いえっ、何も・・・」


私の事を打つなら打てばいい、この関係はおしまいよ。

その時、一台の車が駐車場に入ってきた。


「ねえ、車よ」

「大丈夫だ、ドアマンならすぐ
 定位置に戻るさ

 そんな事より
 考え直してくれないか」
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