アカイ花†Vermilion Flower

いい加減、女々しい男にウンザリしていた頃、声が聞こえてきた。


「リコ、リコじゃないの?

 お父さん、リコよ」

「リコ、ここで何をやっている
 仕事はどうした?」

「社長、すみません」


社長・・・その言葉に男の顔色が変わった。


さっきの車が駐車した辺りから、こちら側へと歩いてくる人達は、私の母と祖父だった。


「ここでは、おじいちゃんでいい
 
 どうだ、仕事は
 えっと、君は、うちの社員かな?
 
 ここで何を・・・」

「何でもないの

 私が失敗して落ち込んでいたのを
 彼が慰めて下さって」

「こんな場所でかい?」


私達の関係を少し疑っている祖父の気を、母が逸らしてくれた。
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