アカイ花†Vermilion Flower
あなたは、何年の時が経とうとも、全く色あせることなく、この場所で咲いてる。
私の恋も、あの子の恋も、色あせることなく、この胸に在り続ける。
久しぶりに三人で訪れた、この場所に、あの子の笑顔は無い。
「アサヒ、レイ
ヴァーミリオン
緋桐の花は
相変わらず綺麗だね?」
「ああ、そうだな」
浅緋と並んで、大好きなアカイ花を見つめる私。
浅緋は振り返って言うの。
「レイ、早く、来い(よ)・・・」
浅緋の声に重なるのは、レイの大きな声。
「アッちゃん、リコちゃん
私、やっぱり、先帰ってるね
バイバイ」
私達の言葉も聞かないまま、駆けて行くレイの後姿を黙って見つめる浅緋。
私は、そっと浅緋の手に触れ、指と指を絡ませて繋いだ。