アカイ花†Vermilion Flower

「ねえ、私達も帰ろう

 レイ、待っ(て)・・・」

「俺達は、もう少しここに居よう」


レイを呼び止めようとした私の言葉に重ねた浅緋の声は強く、また、私の手を握り返す力も強い。


「アサ・・・?」


見上げた私の唇に、貴方の唇が触れた。

不意を突かれたキスに驚く私は、瞳を閉じる事も忘れていた。

離れた唇からは、もちろん、言葉も出ない。


思った事は、ただひとつ・・・


浅緋は、どうして、こんなことしたの?


レイが振り返って、私達のキスする姿を見るかもしれないと思わなかったの?


レイは、私達のキスを見たかもしれない。


動揺する胸・・・


どうしよう、レイが泣いていたら・・・
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