アカイ花†Vermilion Flower
天気予報は外れ
ザーーーーーー
そう、今の私の頭上には雨が降る。
夜の街、急に降り出した雨に傘を持たない私は、ずぶ濡れ状態のまま赤信号で立ち止まり、信号を見る事は無く自分の足元を見つめた。
あ~あ
天気予報を信じて新しい靴なんて履かなきゃよかったよ。
そう、雨をいっぱいに含んでくたびれているこのスエードの靴は、昨日新調したばかりで下ろし立て。
今朝、箱から出したばかりの、あの何とも言えない可愛さは今はもう見る影も無い。
『今日は、ごめん、悪い
また連絡するよ』
今の彼との間でこういうやり取りはよくある事で、会う約束をキャンセルされてもそんなには腹も立たない。
だけど、自分が大切にしているものがこんな風に汚れたり、無くなったりする事には無性に腹が立ってしまう。
大事にしなかった自分自身に、ムカつく。