アカイ花†Vermilion Flower
「いえっ、じゃあ病院に今から
連れて行ってください」
「リコ、後30分程で病院は
閉まる時間よ
病院に着くまでに時間もかかるし・・・」
「うん、だけど、せっかく彼が
こう言って下さってるし
行ってみるわ」
私は慌てて、いずるさんと一緒に家を出た。
「車、アッチに停めてあるんだ
今すぐ取ってくるよ」
「ううん、歩きながら話しましょう?
どうして、こんなにも私に
親切にして下さるんですか?
この怪我は貴方には何の関係もない
貴方はただ傍を通りかかって私を
助けてくれただけのこと
加害者でも無いのに、こんなに良く
してもらう意味がわかりません」
「そうだよね、本当は俺も分からないんだ
ただ、君と居るのが楽しくて・・・
こんな風に笑って過ごせる時がまた
来るなどとは思いもしなかった
君は俺の悲しみの中に見えた
一筋の温かな光
俺を悲しみから救ってくれる」