アカイ花†Vermilion Flower
何がいずるさんをそんなにも悲しませるのか理由も知らないくせに、私は彼のその悲しみに寄り添いたいと強く思った。
「いずるさん
あなたに私は必要ですか?」
彼は私と向き合って、松葉杖に脇を支えられた私の手を取った。
私達は手を繋ぐ・・・
「ああ、俺には君が必要だ
アサヒには悪いと思うけど
君に会いたいと思う気持ちは
消せない
俺は君を、リコちゃんを愛してる」
私の中で何かの鎖が外れた。
『愛してる』
その言葉は、今の私にはどんな言葉よりも媚薬!
「私も、いずるさんが好き
あなたを愛してる」
月夜の下で、口づけを交わす、二人。
愛し愛される喜びにこの胸が震え、幸せを感じた頃、いずるさんの腕の中に身を寄せる私の瞳に映る人がいる。