アカイ花†Vermilion Flower
交わるのは唇だけ・・・
いずると一緒に過ごしたこの数日間、本当の意味での温もりを私はまだ感じたことがない。
「新しい布団を用意したよ
今夜は、リコはそっちで
ゆっくりとおやすみ」
知らない家で一人きりじゃ寝付けなくて、私は貴方のベッドにそっと近づき静かに眠る貴方の髪を優しく撫でてあげた。
だけど、やっぱり眠れなくて、浅緋と同じ匂いのする部屋のドアを開いた。
照明を付けると、ここは、いずるさんの画室・・・
描きかけの大きなキャンバス・・・
きっと、この絵は、個展の絵を描いてるんだろう。
とても、綺麗な絵・・・
机には、削られた鉛筆が十本程、ペン立てに入ってる。
これは、油絵の具・・・
放置されたままの染料パレット、いろんな色が所狭しとギッシリ。
そこに、飾られた一枚の写真立てを私は手に取った。
その写真に写る女性の雰囲気は、私にそっくりで長い黒髪が艶めいて綺麗。