TABOO Ⅲ~呼べない関係~
「もう帰るんすか?」
机の上に置かれたバッグにチラッと視線を向け、軽い調子で聞いてくる。
ようやく金縛りから解けて小さく頷くと、「ふーん」と興味なさそうに背を向けてしまった。
しばらく窓の外を眺めていた彼が、「なんだ浮気か…」と独り言のように呟く。
浮気?
「…なにそれ」
からかわれるとわかっていてもつい反応してしまうと、
「校門の横。シルバーの車が停まってる」
珍しくからかい口調じゃない淡々とした声が告げた。
『近くにいるから迎えに行ってやるよ』
さっきかかってきた、この後会う仲間からの電話。
ホントに近くにいたんだってことよりも、
「元彼だろあれ」
覚えてた彼に驚く。
だけどその後すぐ思い出して、気まずさから視線を逸らした。
初めて目が合ったのは、元彼と車の中でキスをしている時だったことを…