ズルい人
『放すわけないでしょ?』
はっきりと聞こえた真緒の声。
俺は声が聞こえたほうへ振り向いた。
そこには酔っ払っていたときに見た真緒の姿があった。
「ま、真緒、どうして……?」
『あなたを復讐しに来たの』
真緒はにっこりと笑い、俺の首を掴んだ。
「く、くる……し……」
『ズルい人。私を殺したことをなかったことにするなんて』
薄れよく意識の中で崖から落ちる前の言葉と同じ言葉を聞いた。
完
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