ズルい人
「待って、真緒!」
名前を呼びかけてみるが、彼女は振り向かない。
それどころか彼女は人気のない山奥へ走っていった。
何でこんなところに…?
そう思いながらも、俺は携帯電話を取り出して辺りを照らした。
彼女は真っ暗闇の山奥だと言うのにライトなしで進んでいく。
パンプスを入っていて走りにくそうなのに、走るの遅かったはずなのに。
全然追いつかない。
それに息が乱れている様子はない。
「………っ!」
息が乱れ、横腹が痛くなってきた。