ズルい人
え…?
真緒の手に触れられなかった。
携帯電話の灯りでは真緒を照らしていた。
掴もうとしたとき、真緒の手をすり抜けたような感じに見えた。
どうして…?
そう思ったとき、真緒のすぐそばは崖っぷちだったらしく、バランスを崩して俺は落ちていった。
そのとき、真緒は何かを言った。
『××××。××××××××××××××××××××』
それはぼそぼそと呟くような声で、俺は途中で気を失い、何と言ったのか聞き取れなかった。