彼氏<親友<親友の彼氏
要は年上で、私より達観してる部分があるのも否めない。だけど……。
モヤモヤした気分で私は高校の同窓会に参加することになった。
親友のルイも来ると言ってた。
ルイとは毎月会ってるけど、今回の同窓会に限っては少し特別。ハルキも来るから……。
ハルキは、高校の時からルイと付き合ってる。当時、私もハルキのことが好きだった。
同窓会の帰り道。嬉しいことに、私はハルキと二人きりになれた。ルイは仕事の急用が入ってしまい、同窓会を途中で抜けてしまったのだ。
ハルキと一緒に、なんとなく母校に寄ることに。
夜の校庭を歩きながらハルキが言った。
「ミナミの彼氏がうらやましい」
「えー? 全然だよ。この間もさー」
私は、隣人事件のことを話した。
ハルキはオーバーなくらい共感を示してくれた。
「ミナミは全然悪くないって! 彼氏ひどいし!
俺だったら、隣の奴に一言言いに行くけど。彼女が寝不足なの、可哀想じゃん」
昔からそう。ハルキはこうやって、私の話を真剣に聞いてくれる。
「俺、ルイと別れようと思ってる」
ハルキが、こっちを見た。
「ミナミが同棲始めたことルイに聞かされてから、この辺がざわついてて……」
憂鬱な面持ちでハルキは胸に手をあてる。
このままハルキの気持ちを受け入れたら、ルイを裏切ることになるけど、私のこたえは決まっている。
ハルキのことが、ずっとずっと欲しかった。
「本当に、ルイを捨てられるの?」
ハルキがどう答えるのかをわかっていてそう尋ねる私は、とても汚い。
でも、いいの――。
【完】