皇帝のサイコロ
「え?」

そう言いながら振り返り、俺を見てポカンとしている。

俺も驚いた。

昔の面影がまったくない。

「……ん?」

視線を下にずらし、今度は僕が頭のなかにクエスチョンマークを浮かべた。

名札の名字が違う。

両親が離婚したのか?

「間違っていたらすみません。飯島慎ですよね?」

「いや?違いますよ」

「飯島が今日バイトだと聞いて来たんですけど、飯島は――」

「あの、こちらの店に飯島という者はいませんが」
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