皇帝のサイコロ


気が付くと西日が差し込んでいた。

たくさんあった芋けんぴも無くなり、お茶もすっかり冷えている。

「あら、もうこんな時間!ごめんなさいね。勝手に盛り上がっちゃって」

「いえ、楽しかったです」

「うふふ、私もよ。それじゃ、そろそろお開きにしましょうか」

玄関まで見送るのだと思っていたら、わざわざ外に出て僕の車が見えなくなるまで見送ってくれた。

良いお母様だ。

慎に会えなかったのが残念だが、今日か明日中には電話がかかってくるだろう。
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