皇帝のサイコロ
「お待たせしました」と、お風呂上がりの愛が寝室へとやって来た。

そのままダブルベッドへ上り、ちょこんと座る。

「電気の明るさは?」

「真っ暗」

「はい、じゃあ豆電球だけ点けておこうか」

明るさを調節し、そして愛を押し倒した。
ベッドがギシッと軋む。

灯りで少しだけ愛の顔が見える。

真っ暗って言ったのに!という内の声が表情から読み取れる。

心の中で小さく笑い、それは表では穏やかな微笑みとなった。

髪を撫で、そして唇を重ねた。

「……っ、ん…」

リビングでしたキスとは違う、濃厚な――。
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