皇帝のサイコロ
ふいにこんな言葉が口から出ていた。

息をひとつ吐く。

昭には話しておこう。

「俺、コンビニでバイトしてないんだよ」

じわっと汗がでる。

「え?どういうこと?新しいバイト先を親に教えてないってことか?」

こんなことを急に言われた昭は、クエスチョンマークをたくさんつけてきた。

「違う。職を失ってからずっと働いてないんだ。親を安心させるために、バイトしてるなんて嘘ついて毎日過ごしててさ」

「普段は何してるんだ?」

「パチンコ」

小さな掠れた声しか出なかった。

羞恥心で耳が熱くなる。
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