皇帝のサイコロ
「……え?よく聞こえなかったんだけど、チンコ?」

「ちげーよ!パ・チ・ン・コ!」

「パチンコ!?」

昭は呆れたようなため息をついた。

無職でパチンコ三昧か、とでも思っているのかもしれない。

「このこと、俺の親には黙っててくれ」

「わかった」と潔く返事をしてくれると思っていたが、その期待は裏切られた。

「いや、慎が言えないなら僕が言う」

この言葉に俺は頭が真っ白になった。
後悔した。

言うんじゃなかった!

俺は衝動的に昭の胸ぐらを掴んだ。

「言うな!これでも勝ってるんだ!家族とギクシャクしたくない!お願いだ!絶対言うなよ!!」
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