皇帝のサイコロ
「嘘だろ。勝ってるなんて。たまに勝ってるの間違いだろ」

「違う」

「僕はパチンコしたことないけどさ。勝つことなんてほとんどないんじゃないか?」

言い返せなかった。

それは俺の負けを意味していた。

昭が胸ぐらを掴んでいる俺の手を放す。

「言わないでくれ。お願いだ。お願いだ!」

深く深く頭を下げる。

これでも言うというのなら、土下座でも!

「……わかった。言わない」

この言葉に俺はパッと顔をあげた。

「だけど、僕は慎の状態をなんとかしたいと思う。慎は今の状況をどうにかしたいとは思わないのか?」

沈黙が訪れた。
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