皇帝のサイコロ

次の日。

俺はバイトと偽ってまたパチンコに通った。

パチンコをしているときは現実を見なくていい。

この日は調子が良く、大当たりの連発。

昭に「ほらみろ」と自慢したいほど。

薄暗い中、鼻歌を歌いながら玄関のドアを開けた。

「ただいまー」

俺の好きな香りが漂っている。

「おかえりなさい。今日の晩ごはんはハヤシライスよ」

母がニコッと笑いながら、俺の方を見てそう言った。

ふと、昭があの事を親に言っていないか気になった。
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