皇帝のサイコロ
「どうしたの?いつもならイェーイ!っていうのに」

「あ、言うの忘れてた」

「うふふ!なにそれ。何か悩みでもあるの?」

「いや。大丈夫」

もしかして知っているのかもしれない。

知らないふりをしているのかもしれない。

そんな疑念を抱いてしまった。


その日から少しずつ、家族が信じられなくなっていった。

両親が話しているのは、俺のことじゃないかと心配して聞き耳をたててしまう。

急に話しかけられるのも、目を合わすのも怖い。

家にいるのが落ち着かない。

怖い。怖い。怖い!
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