皇帝のサイコロ
昨日の決意を思い出せ!

「頑張れ、俺」

自分自身にそう呟き、体を起こす。

床に足をつけ一歩二歩と歩く。

そして踏むたびにバキバキと音がなる階段をゆっくりと下りていく。

ハンバーグの匂いが鼻まで到達した。

父と向かい側の、いつもの席に座る。

「さ、食べましょ」

「いただきます」

「いただきまーす」

少し遅れて、「いただきます」と呟いた。

熱でとろりと溶けたチーズがうまい。

ハンバーグで喜ぶなんて子供か?と、さっき有紗を見たときに冷静に思ったが、俺も今は心の底で喜んでいる。
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