皇帝のサイコロ

『おかけになった電話は……』

着信拒否。

『error』

メールも相手に送られないまま返ってきた。

ようやくこの状況を認めることができた。

本当に真実子は黙って出ていったのだ。

おそらく自身の実家に帰ったのだろう。

これで追いに行っても女々しいと思われるだけだ。

この2ヶ月間、真実子の収入と自身の貯金を崩しながら生活していた。

それこそ最初の1ヶ月は真面目に職探しをしていた。

しかし何十件と受けるもののなかなか採用されない。

そこに真実子の「まだ採用されないの?」という一言。
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