皇帝のサイコロ
でもこのしあわせのあとには辛いことがやってくる。

ハンバーグが小さくなっていく。

茶碗に盛られたご飯の量が減っていく。

その度にドクドクと心臓の音が大きくなっていく。

「ごちそうさま!おいしかった」

「うふふ」

母が嬉しそうに笑う。

隣の有紗が食器を重ねて立ち上がり、流しへと足を運ぶ。

有紗は晩ごはんを食べたあと、すぐにお風呂に入る。

そしてお風呂から出たあとはすぐ部屋へ行ってしまう。

今、呼び止めておこう!

「――有紗!」
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