皇帝のサイコロ
思ったよりも大きな声が出て自分がビックリした。

父と母も目を丸くしている。

「何?そんなに大きい声で呼ばなくても聞こえるって!」

そう笑いながら、流しに食器を置いた有紗が戻ってきた。

「ちょっと、まだ風呂に入らないでくれ。お母さんにもお父さんにも、みんなに言わないといけないことがあって」

「なに、深刻な話?」

笑っていた有紗が真顔になった。

そして再び隣の椅子に腰かけた。

まだハンバーグが一口分残っているが、箸を置く。

昼間の心臓の高鳴りはどこへいったのか。

今は何故か大人しい。
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