皇帝のサイコロ
「慎。500万払えるのか」

「この先、頑張れば、返せると思う」

嗚咽で途切れとぎれになりながら答える。

「返せると思うじゃなくて、返すんだ」

「……っ」

500万もの大金を稼がなきゃいけない。

この先のことを考えて自信がなくなった。

「わしが半分払ってやる」

意外な言葉に顔をあげた。

涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔を。

涙の向こうに見えたのは、普段の温和さからは考えられない、厳つい顔をした父。

「お父さん、そんなこと言って大丈夫なの?」

母が心配そうにそう父に問いかける。

「こんな風に育てた親の責任が半分だ。そうだろ?」
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