皇帝のサイコロ
「カラスに起こされた。で、目が開かなくてさ」
「私も開かないんだけど。こんな目で会社行くの恥ずかしいー!」
手で目を覆って嘆いている。
まだ俺よりかはマシな方なのに。
「有紗。ありがとうな」
「え?何?急に」
「その……。俺と同じような目になってくれて」
「な!?」
口をポカーンと開けた有紗を見て盛大に笑った。
いつも通りに接してくれて嬉しかった。
本当はそっちのお礼を言いたかったが、恥ずかしいのでやめた。
台所に行くと寝巻き姿の母がいた。