皇帝のサイコロ
チーズが少し焦げた熱々のパンをかじる。

この焦げた部分がうまいんだよな。

もっと全面を焦がしたいが、それでは時間がかかりすぎてパンの耳が真っ黒焦げになってしまう。

良い方法は無いのか?

「イ……ッタタタタタ!」

「お母さん!?どうしたの!」

突然、母と有紗の大きな声が聞こえた。

チーズとパンの焦げについての思考は強制終了。

ローテーブルに皿を乱暴に置き、台所へ駆けつけた。

食器棚に手をついて苦しそうに呼吸をする母。

「救急車呼ぼうか?」
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