皇帝のサイコロ
「ちょっと通りまーす」

有紗が敷き布団やらを肩に担いできた。

有紗がリビングに入って数秒して、「お兄ちゃん!」と呼んできた。

「何?」

「テレビが見やすい位置に敷こうと思うから、ローテーブル畳んで」

「了解」

食べかけのチーズ食パンがのった皿をダイニングテーブルにのける。

そしてローテーブルの脚を畳み、適当なスペースに立て掛けた。

「あとは俺がやる。有紗は朝飯食べないと。時間なくなるぞ」

「わかった。お願い」

有紗の後を引き継いで布団を敷いた。

母の体を支え、布団まで誘導する。
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