皇帝のサイコロ
黒色の屋根と壁をしたシンプルな外観の家だ。

玄関に入ると、良い匂いがした。

木の匂い。

「おじゃまします」

「こんばんは。どうぞ上がってください」

奥から背の低い童顔の女性が出てきた。

昭のお嫁さんかあ……。

灰色の若干モコモコしたスリッパを履く。

「晩ごはん、一緒に食べて帰られますか?」

「あー……、はい。お願いします」

一瞬迷ったが、母と気まずいこともあってそう答えた。

昭の後ろについて階段を上る。

必要最低限のものが置かれた部屋。

スリッパを脱ぎ、絨毯の上に腰を下ろす。
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