皇帝のサイコロ
目立つ赤い自販機の前。

財布を取り出したとき、「あ」と声が出た。

この財布の軽さ。

今日から財布の中には500円だけなのだ。

1日に使えるのは500円。

これによってお金の大切さを再認識させるという、昭から提案された方法。

自販機に500円玉を入れる。

そして120円のお茶を購入した。

お茶を飲むと、なんだか無性に食べ物を胃に入れたくなった。

最近開店した、家族で経営している小さなパン屋へ入る。

「いらっしゃいませー」と、おばあさんがくしゃっとした笑顔を見せた。

値段の横に「焼きたて!」とPOPが貼られてある美味しそうなチーズパン。
< 89 / 106 >

この作品をシェア

pagetop