皇帝のサイコロ
母の眉が心配するように下がった。

前回、借金があると重大な告白をしたときはチーズハンバーグだったな、とふと思い出す。

今回は寄せ鍋か。

「なんだ?」

「借金、もうお父さんは返さなくていいよ。今までありがとう。これからは俺が……全部返していく」

母が「ええ!?」と高い声を出した。

「なんでだ?」

「俺、あのとき金銭感覚おかしくてさ」

「だろうな」

「最近やっと金銭感覚取り戻してきだして。それで思ったんだけど500万ってすごい大金で」

「そうだな……」

「それで、なんというか、親に肩代わりされると先が怖い」
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