あめあがり
好きだった
美紅side
―――ガタッ
「水原さん、一緒にお昼行きましょうか♪」
「玉城くん、あなたのこと、私は嫌いなので」
「玉城くんじゃなくて、…舞人、でしょ?」
「…あり得ないから」
玉城舞人―たましろまいと
コイツを見ると思い出す。
高校の嫌な記憶。
“「夏祭り、一緒に行かない?
思い出作りたいじゃん?」”
“「スマホある?あ、ごめん携帯か。アド交換しようよ、な?」”
“「あ、居た。明日のサッカーの試合来いよ、待ってるから。」”
期待と優しさを置いて君は私の目の前から消えた。
儚く散った私の片想い。
でも、大好きだった。
“「――きたやま そら。漢字は北に山って書いて、蒼い空。
かっけぇ名前だろ?」”
その自信家な所と負けず嫌いな所と軽いのに優しい所、全てが愛おしかった。
だから、だからこそ、彼を思い出したくないから、だからこれ以上近付かないで。
北山くんと玉城くん。
似ている。けど違う。
分かってる、だけど…。
ねぇ、私の中に入ってこないで。
玉城くんと出会ってなかったら私は、―――北山を思い出さなかったのに。