・*不器用な2人*・
第1章/馴染めないクラス
入学式から2日目。
クラスではすでにグループが編成されつつあった。
「風野さんって、もしかしてお化粧してる?」
華やかな容姿の女子たちに声をかけられたのは、昼休みのことだった。
お弁当を片手に持った彼女たちは、どうやら食事に誘いに来たらしい。
私は緊張しつつ、「してないよ」とムリに笑った。
彼女たちは近くの席に腰をおろしながら、
「えー嘘ぉ。すっぴんで可愛いとか反則ー。」と大きな声で言うと、両手をバンバンと叩いた。
「してるでしょ、絶対してるでしょ。」
身を乗り出して聞かれ、私は首を横へ振った。
「してないよー。」
どう答えていいのか分からずにまたそう言うと、彼女たちは大きな声を出すのをやめた。
みんなで顔を見合わせて、それからよそよそしく離れていってしまった。
「風野って顔可愛いけど超つまんないよね。」
誰かの声がボソッと耳に届いた。
「風野って誰?」
「風野だよ、風野綾瀬。
そこの席に座ってるおだんご結いの子。」
ぼそぼそと聞こえてくる言葉に私はだんだんいたたまれなくなる。
どうして入学早々こんな目にあわなければならないのかと悲しくなった。
「あの子、中学の時にいじめられて不登校だったらしいよ。
頭いいのに学校行ってなかったせいでこの学校しか入るとこなかったんだって。
同じ塾の子に聞いたんだけど。」
不意に、そんな言葉が聞こえてきた。
私は内心ドキリとしながらも、表情は変わることがなかった。
彼女たちは私に聞こえていることなんて知らずに、ぼそぼそと話し続ける。
「やっぱり不登校の子って暗いんだね。
超絡み辛い。
なんかあの子、話しかけただけで不登校になっちゃいそうだよね。」
「うちらが勉強がんばっても風野さんが1位ってことでしょ?
最悪ー。
なんかモチベーションだだ下がりなんですけど。」
勝手な憶測で話を続ける女子たちに耐えきれなくなり、私は聞こえていないふりを続けながらも教室を出た。
扉を背にした直後、教室内からドッと騒ぎ声が聞こえてきた。
自分のことを噂しているのだとすぐに分かり、私は足早にその場を立ち去った。
クラスではすでにグループが編成されつつあった。
「風野さんって、もしかしてお化粧してる?」
華やかな容姿の女子たちに声をかけられたのは、昼休みのことだった。
お弁当を片手に持った彼女たちは、どうやら食事に誘いに来たらしい。
私は緊張しつつ、「してないよ」とムリに笑った。
彼女たちは近くの席に腰をおろしながら、
「えー嘘ぉ。すっぴんで可愛いとか反則ー。」と大きな声で言うと、両手をバンバンと叩いた。
「してるでしょ、絶対してるでしょ。」
身を乗り出して聞かれ、私は首を横へ振った。
「してないよー。」
どう答えていいのか分からずにまたそう言うと、彼女たちは大きな声を出すのをやめた。
みんなで顔を見合わせて、それからよそよそしく離れていってしまった。
「風野って顔可愛いけど超つまんないよね。」
誰かの声がボソッと耳に届いた。
「風野って誰?」
「風野だよ、風野綾瀬。
そこの席に座ってるおだんご結いの子。」
ぼそぼそと聞こえてくる言葉に私はだんだんいたたまれなくなる。
どうして入学早々こんな目にあわなければならないのかと悲しくなった。
「あの子、中学の時にいじめられて不登校だったらしいよ。
頭いいのに学校行ってなかったせいでこの学校しか入るとこなかったんだって。
同じ塾の子に聞いたんだけど。」
不意に、そんな言葉が聞こえてきた。
私は内心ドキリとしながらも、表情は変わることがなかった。
彼女たちは私に聞こえていることなんて知らずに、ぼそぼそと話し続ける。
「やっぱり不登校の子って暗いんだね。
超絡み辛い。
なんかあの子、話しかけただけで不登校になっちゃいそうだよね。」
「うちらが勉強がんばっても風野さんが1位ってことでしょ?
最悪ー。
なんかモチベーションだだ下がりなんですけど。」
勝手な憶測で話を続ける女子たちに耐えきれなくなり、私は聞こえていないふりを続けながらも教室を出た。
扉を背にした直後、教室内からドッと騒ぎ声が聞こえてきた。
自分のことを噂しているのだとすぐに分かり、私は足早にその場を立ち去った。
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