・*不器用な2人*・
「梶、授業サボるのこれで何回目」
木山に聞かれ、俺は高1の春まで遡って数え始める。
「お前が自殺だのなんだの言い出した日が最初で今日が2回目」
「うわ、少なっ」
自分でも少ないなと本気で思った。
しかも2回とも木山の付き添い。
自分で授業が面倒になってサボったことは不思議とまだなかった。
「もっとサボろうよ、真面目だと寿命縮むしいいことないよ」
そう言う木山の額をもう1度指で弾きながら笑う。
「お前が俺の寿命毎回縮めてるんだろ。
あとお前も妙なところで結構真面目だから」
木山は額をさすりながら子どもみたいに顔を歪めて笑うと、また寝返りを打つ。
「家に戻って毎日楽しいのにおかしいよね。
何でまだこんなことしてんだろ俺」
右手を顔の前でグーパーしながら木山が呟く。
自分でも危機感は抱いていたらしい。
「おかしくないよ、別に」
俺が思ってもいないことを口にすると、木山は「嘘だー」と棒読みに言った。
「入学した時から梶がずっと俺の手見てるから、俺まで気になってきちゃったんだよ」
「俺のせいかよ」
そう言いながら、木山の右手を引っ張る。
「別に今すぐ止める必要とかないって。
ずっとやってたんだからクセになるのは当然だし。
自傷にしたって何にしたって、今すぐ止めなきゃ死ぬってわけじゃないんなら、そこまで危機感持たなくて大丈夫だよ」
我ながら無責任なことを言ってしまったと思う。
木山は「何だそれ」と小声で言った。
よくよく見たら左手にもタコができていて、それにはさすがに驚いた。
あまりにも繋ぎすぎたせいで、いい加減鬱陶しかったのか手を振り払われた。
5限終了のチャイムが鳴り、俺たちは保健室を出た。
「お前はまだ寝てても良かったのに」
俺が言うと、後ろを歩いていた木山がヘラッと笑いながら答える。
「これ以上サボると単位がねぇ…」
「あ、さすがにそっちの危機感もあったんだな」
少しだけホッとした。
――こいつに付き合ってたら俺も単位が危ない気がする。
心の中で呟きながらも、そんなことは絶対に口には出さない。
ギリギリになるまでは付き合ってやろうと、心の中でソッと思った。
とは言え。
「木山、お前もう少し俺に敬意を払った方が良いと思うぞ」
俺のカーディガンで口を拭った木山にそう言うと、「何が」とあっさり返された。
木山に聞かれ、俺は高1の春まで遡って数え始める。
「お前が自殺だのなんだの言い出した日が最初で今日が2回目」
「うわ、少なっ」
自分でも少ないなと本気で思った。
しかも2回とも木山の付き添い。
自分で授業が面倒になってサボったことは不思議とまだなかった。
「もっとサボろうよ、真面目だと寿命縮むしいいことないよ」
そう言う木山の額をもう1度指で弾きながら笑う。
「お前が俺の寿命毎回縮めてるんだろ。
あとお前も妙なところで結構真面目だから」
木山は額をさすりながら子どもみたいに顔を歪めて笑うと、また寝返りを打つ。
「家に戻って毎日楽しいのにおかしいよね。
何でまだこんなことしてんだろ俺」
右手を顔の前でグーパーしながら木山が呟く。
自分でも危機感は抱いていたらしい。
「おかしくないよ、別に」
俺が思ってもいないことを口にすると、木山は「嘘だー」と棒読みに言った。
「入学した時から梶がずっと俺の手見てるから、俺まで気になってきちゃったんだよ」
「俺のせいかよ」
そう言いながら、木山の右手を引っ張る。
「別に今すぐ止める必要とかないって。
ずっとやってたんだからクセになるのは当然だし。
自傷にしたって何にしたって、今すぐ止めなきゃ死ぬってわけじゃないんなら、そこまで危機感持たなくて大丈夫だよ」
我ながら無責任なことを言ってしまったと思う。
木山は「何だそれ」と小声で言った。
よくよく見たら左手にもタコができていて、それにはさすがに驚いた。
あまりにも繋ぎすぎたせいで、いい加減鬱陶しかったのか手を振り払われた。
5限終了のチャイムが鳴り、俺たちは保健室を出た。
「お前はまだ寝てても良かったのに」
俺が言うと、後ろを歩いていた木山がヘラッと笑いながら答える。
「これ以上サボると単位がねぇ…」
「あ、さすがにそっちの危機感もあったんだな」
少しだけホッとした。
――こいつに付き合ってたら俺も単位が危ない気がする。
心の中で呟きながらも、そんなことは絶対に口には出さない。
ギリギリになるまでは付き合ってやろうと、心の中でソッと思った。
とは言え。
「木山、お前もう少し俺に敬意を払った方が良いと思うぞ」
俺のカーディガンで口を拭った木山にそう言うと、「何が」とあっさり返された。