・*不器用な2人*・
鈴木琢磨の場合
なんやかんやで無事進級し、ラストDKとなった。
嫌がらせのようなクラス編成に唖然としていると、背後から「よー鈴木ー!」と肩を叩かれる。
すかさず振り返り、1年からの友人の顔を鷲掴みにした。
「何でお前らこぞって留年してんだよ!
進級できたの俺だけかよ!」
早く言えよ!
心の中でそう付け足しつつプロレス技をかましていると、木山薫が涼しげに通りかかった。
「鈴木君、今日から同じクラスだね」
禍々しい笑顔で言われ、思わず顔を逸らす。
――そういや俺、一回こいつにボコられたんだっけ。
やべー…と思いつつ「宜しくな!」と片手をあげる。
木山薫は笑顔で肩を竦めると、人波に消えて行った。
「最近丸くなったよな、木山の兄ちゃん」
友人に言われ、「そうか?」と首を傾げた。
昨年何となく気に入らなかった中西という白豚と同じクラスになっていた。
前の席の木山をつついて、「あいつと一緒とかどうよ」と言うと、木山は笑いながら「別に」と答える。
「なんか去年揉めてたじゃん。
俺がとばっちりで怒られたし」
「それは鈴木が中西の前歯折るからだろ」
さらりと言われ、言葉に詰まる。
――誰のためにやってやったと…!
そう思ったけれど口にはしなかった。
笑顔で「頼んでないから」と言われたら確実に心が折れる。
「まあ、中西が何かしてきても鈴木がなんとかしてくれるんでしょ」
木山はそう言うと机に突っ伏した。
――してやんねぇよ!?
昨年クラスで一部から嫌われたという話にも頷けるマイペースさだ。
何でこんな奴がモテて俺が風野にフラれるのか理解に苦しむ。
しかも今年もクラス離れたし。
移動教室の際。
「木山が同じクラスとか鬱陶しいよな」
ヲタク連中が愚痴っているのをたまたま聞いた。中西筆頭の白豚の集団だ。
「女子は結局顔しか見てないんだよな。
あーあ、バカらしい」
色々突っ込みたかったけれど、こちらから声をかけるのも癪なので黙っておく。
「あいつ去年、工藤が飯食わしたら生意気言ってた割に泣いちゃって吐いてやんの。
あれはさすがに引いたわ」
――あ、ダメだ。
今年こそはキレないと決めていたけれど、その目標は4月段階で無効になった。
勢いよく中西の胸ぐらを掴んで壁に叩きつけると、廊下から悲鳴があがった。
昨年の記憶があるのか中西は悲鳴をあげる。
「中西、キモヲタの童貞君のクセにいきがってんじゃねーぞコラ!」
座り込んだ中西の顔を蹴ったところで止めに入られた。
俺の体を後ろから拘束した木山は、呆れたようにため息をつく。
「お前、根性焼きと前歯折る意外に能がないのか…」
そう言われてムッとする。
「誰のためにやってやったと思ってるんだよ木山ああ!」
拘束していた木山を振りほどくと、木山は呆気なく壁に体をぶつけた。
やり過ぎたと瞬時に思った。
慌てて駆け寄ろうとすると、すごい目付きで睨まれた。
「社会のクズ、消えればいいのに」
ボソッと言われて本気で傷付いた。
嫌がらせのようなクラス編成に唖然としていると、背後から「よー鈴木ー!」と肩を叩かれる。
すかさず振り返り、1年からの友人の顔を鷲掴みにした。
「何でお前らこぞって留年してんだよ!
進級できたの俺だけかよ!」
早く言えよ!
心の中でそう付け足しつつプロレス技をかましていると、木山薫が涼しげに通りかかった。
「鈴木君、今日から同じクラスだね」
禍々しい笑顔で言われ、思わず顔を逸らす。
――そういや俺、一回こいつにボコられたんだっけ。
やべー…と思いつつ「宜しくな!」と片手をあげる。
木山薫は笑顔で肩を竦めると、人波に消えて行った。
「最近丸くなったよな、木山の兄ちゃん」
友人に言われ、「そうか?」と首を傾げた。
昨年何となく気に入らなかった中西という白豚と同じクラスになっていた。
前の席の木山をつついて、「あいつと一緒とかどうよ」と言うと、木山は笑いながら「別に」と答える。
「なんか去年揉めてたじゃん。
俺がとばっちりで怒られたし」
「それは鈴木が中西の前歯折るからだろ」
さらりと言われ、言葉に詰まる。
――誰のためにやってやったと…!
そう思ったけれど口にはしなかった。
笑顔で「頼んでないから」と言われたら確実に心が折れる。
「まあ、中西が何かしてきても鈴木がなんとかしてくれるんでしょ」
木山はそう言うと机に突っ伏した。
――してやんねぇよ!?
昨年クラスで一部から嫌われたという話にも頷けるマイペースさだ。
何でこんな奴がモテて俺が風野にフラれるのか理解に苦しむ。
しかも今年もクラス離れたし。
移動教室の際。
「木山が同じクラスとか鬱陶しいよな」
ヲタク連中が愚痴っているのをたまたま聞いた。中西筆頭の白豚の集団だ。
「女子は結局顔しか見てないんだよな。
あーあ、バカらしい」
色々突っ込みたかったけれど、こちらから声をかけるのも癪なので黙っておく。
「あいつ去年、工藤が飯食わしたら生意気言ってた割に泣いちゃって吐いてやんの。
あれはさすがに引いたわ」
――あ、ダメだ。
今年こそはキレないと決めていたけれど、その目標は4月段階で無効になった。
勢いよく中西の胸ぐらを掴んで壁に叩きつけると、廊下から悲鳴があがった。
昨年の記憶があるのか中西は悲鳴をあげる。
「中西、キモヲタの童貞君のクセにいきがってんじゃねーぞコラ!」
座り込んだ中西の顔を蹴ったところで止めに入られた。
俺の体を後ろから拘束した木山は、呆れたようにため息をつく。
「お前、根性焼きと前歯折る意外に能がないのか…」
そう言われてムッとする。
「誰のためにやってやったと思ってるんだよ木山ああ!」
拘束していた木山を振りほどくと、木山は呆気なく壁に体をぶつけた。
やり過ぎたと瞬時に思った。
慌てて駆け寄ろうとすると、すごい目付きで睨まれた。
「社会のクズ、消えればいいのに」
ボソッと言われて本気で傷付いた。