・*不器用な2人*・
第13話/登校したくない
月曜日、火曜日、水曜日……。
私と梶君は一切顔を合わせることがなかった。
私は屋上へは行かず、1人で登校をし、人との接触がなかった。
「どうしたの、綾瀬ちゃん!」
木曜日の休み時間、めぐちゃんが耐えかねたとでもいうかのように、私の机をバン!!と叩いた。
驚いたように淳君が一瞬振り返ったが、やがてバツが悪そうにまた雑誌へと視線を落とした。
「折角仲良くなれたと思ったのに、どうしてみんなのこと避けてるの!?」
めぐちゃんにキツい口調で言われ、私は答えに詰まる。
だけど、先日のことを話して自分だけを守ることは絶対に嫌だった。
卑怯と思われたくない、その一心だった。
「……何もないよ。」
そう言おうとした時だった。
私たちの様子を見ていた女子たちが、こちらへと寄ってきた。
「結局、地味で意志の疎通ができないから梶君に嫌われたって話でしょ?
だから言ったじゃん、風野さんみたいな地味子は梶君に似合わないって。」
その言葉にめぐちゃんが食い付こうとする前に、淳君が立ち上がった。
彼は無言で手近にいた女子の胸ぐらを掴むと、そのまま周りに考慮もせずに放り投げた。
大きな悲鳴が上がって、女子たちが教室の隅々へと散らばる。
めぐちゃんもギョッとしたように目を見開いた。
「そんなの、お前らが決めることじゃないだろ。」
淳君は床に倒れ込んだ女子の髪を引っ張り、そう低い声で呟いた。
放課後、ローファーの中に画びょうが入っていた。
靴を替え終わった女子たちが「死ね」と小声で言いながら立ち去って行く。
4月から、随分と我慢してきたと思う。
邪慳されても傷付かないフリをし続けていた。
でももう限界だと思う。
画びょうを床へと放り、ローファーに足を入れると、私は駆け足で校舎を出た。
途中ですれ違った浅井君がギョッとしたような表情で私を呼び止めたけれど、振り返ろうとも思わなかった。
途中でケータイの電源を落とした。
そのまま家へと入ると、自分の部屋へと駆け込んだ。
翌日、昼過ぎに目が覚めた。
家族はみんな出かけてしまったらしく、家の中はやけに静かだった。
中学時代、毎日をどのように過ごしていただろうと思い出しながら、私は部屋の隅に積んであった本に手を伸ばした。
飽きると、リビングへと下りていってテレビで昼ドラを見る。
それからまた部屋へと戻って漫画を読んでパソコンで動画を見て……。
そうしているうちに夕方になる。
帰ってきた母親は、私の顔を見て何か言おうとして、それを飲み込んだ。
恐らく、「また引き籠もるつもり?」と言おうとしたのだろう。
「学校に行かない間は家の手伝いをしてね。」
そうイラだったような声で言われ、私は素直に頷いた。
私と梶君は一切顔を合わせることがなかった。
私は屋上へは行かず、1人で登校をし、人との接触がなかった。
「どうしたの、綾瀬ちゃん!」
木曜日の休み時間、めぐちゃんが耐えかねたとでもいうかのように、私の机をバン!!と叩いた。
驚いたように淳君が一瞬振り返ったが、やがてバツが悪そうにまた雑誌へと視線を落とした。
「折角仲良くなれたと思ったのに、どうしてみんなのこと避けてるの!?」
めぐちゃんにキツい口調で言われ、私は答えに詰まる。
だけど、先日のことを話して自分だけを守ることは絶対に嫌だった。
卑怯と思われたくない、その一心だった。
「……何もないよ。」
そう言おうとした時だった。
私たちの様子を見ていた女子たちが、こちらへと寄ってきた。
「結局、地味で意志の疎通ができないから梶君に嫌われたって話でしょ?
だから言ったじゃん、風野さんみたいな地味子は梶君に似合わないって。」
その言葉にめぐちゃんが食い付こうとする前に、淳君が立ち上がった。
彼は無言で手近にいた女子の胸ぐらを掴むと、そのまま周りに考慮もせずに放り投げた。
大きな悲鳴が上がって、女子たちが教室の隅々へと散らばる。
めぐちゃんもギョッとしたように目を見開いた。
「そんなの、お前らが決めることじゃないだろ。」
淳君は床に倒れ込んだ女子の髪を引っ張り、そう低い声で呟いた。
放課後、ローファーの中に画びょうが入っていた。
靴を替え終わった女子たちが「死ね」と小声で言いながら立ち去って行く。
4月から、随分と我慢してきたと思う。
邪慳されても傷付かないフリをし続けていた。
でももう限界だと思う。
画びょうを床へと放り、ローファーに足を入れると、私は駆け足で校舎を出た。
途中ですれ違った浅井君がギョッとしたような表情で私を呼び止めたけれど、振り返ろうとも思わなかった。
途中でケータイの電源を落とした。
そのまま家へと入ると、自分の部屋へと駆け込んだ。
翌日、昼過ぎに目が覚めた。
家族はみんな出かけてしまったらしく、家の中はやけに静かだった。
中学時代、毎日をどのように過ごしていただろうと思い出しながら、私は部屋の隅に積んであった本に手を伸ばした。
飽きると、リビングへと下りていってテレビで昼ドラを見る。
それからまた部屋へと戻って漫画を読んでパソコンで動画を見て……。
そうしているうちに夕方になる。
帰ってきた母親は、私の顔を見て何か言おうとして、それを飲み込んだ。
恐らく、「また引き籠もるつもり?」と言おうとしたのだろう。
「学校に行かない間は家の手伝いをしてね。」
そうイラだったような声で言われ、私は素直に頷いた。